浮気の定理-Answer-
「ちょっと、なにしてんの?子供たちいるのよ?」



後ろからゆるく抱き締めて、触り慣れた膨らみを手のひらで包み込む。


ローズ系の甘い香りは、いつもはしない匂い。


ランチに香水までつけて行くのかと、抱き締めながら思う。


丸くてキュッと上がったヒップをジーンズの上からそっと撫で上げた。


体をよじりながら、やめてと抵抗するありさ。


それが本気なんだと気付いたのは、振り返り様に俺を睨み付けるありさの目を見たときだった。



「悪い、やりすぎた……」



そう謝ったのに、ありさは俺の手をふりほどいて、何もなかったようにまた野菜を切り始める。


俺は宙ぶらりんになった手を握りしめて、キッチンから寝室へと向かった。


布団に寝転がり、スマホを開く。


ゲームサイトに接続してマイページを開くと、伝言板にメッセージが入っていた。


最近、よく話をするようになった、ありさと同じ歳の主婦だ。


ありさと少しでも話が合えばいいと、映画のサークルに入ったのがきっかけだった。



『こないだはアクション映画を見ました』



そんな他愛のないメッセージ。

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