浮気の定理-Answer-
barでの待ち合わせに、真由は少し遅れて現れた。
緊張した面持ちで、俺の隣に座る。
いつもの甘めのフルーツカクテルを頼んでから、ゆっくりと俺に向き直った。
「久しぶり」
微笑みながらそう言った真由の顔が、どこか寂しそうなのは気のせいだろうか?
大事な話があるからと送ったメールへの返信には、同じく私も話があると書かれていた。
真由が何を話すつもりなのかはわからないけれど、それはあまりいい内容ではない気がして、俺は話を聞く前に自分から話を切り出した。
「真由、俺……離婚するよ」
「はっ?」
喜ぶと思っていた真由の顔は意外にも違うものだった。
驚きと困惑した表情に、俺は苛立ちを感じた。
――なんだよ……その顔……もっと喜べよ……
そんな風に思う俺を無視するように、真由は慌てた様子で俺を宥めるように話す。
「ちょっと待って!落ち着いて?
なんでそういうことになるわけ?」
それでも俺は真由が嫌がってるなんて一ミリも思わずに、彼女が遠慮してくれてるんだと思った。