浮気の定理-Answer-
一ヶ月がたった頃、ありさが神妙な面持ちで話があると言ってきた。


子供が寝静まった、10時頃。


明日は仕事で早いからとアルコールはやめて、コーヒーで寛いでいた時だった。




「なんだよ?怖い顔して……なんかあったのか?」



ありさは小さく頷いたあと、ごめんなさい!と大げさなほど頭を下げて謝ってきた。


俺は心当たりがないわけじゃなかったから、なんとなく嫌な予感がした。


もしかしたら……




「妊娠……しちゃったみたい」




やっぱり――


思った通りの答えに、俺はどうすべきか考える。


生んでくれって言いたいのは当たり前の感情だけれど、そう言えるほどの経済的余裕が今はない。


やはりあのとき、一時の快楽に身を任せるべきじゃなかった。


どんな結果にしろ、傷つくのはありさの体で、俺は心配することしか出来ない。




「俺も悪かった

ちゃんと避妊すべきだったのに……」




「和也は悪くないよ

あのとき、いいって言ったのは私だもん」




ありさはどう思ってるんだろう?


生みたいんだろうか?


それとも……

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