浮気の定理-Answer-
『奥さん……愛されてるんですね?

ちょっと羨ましいなぁ』




ハッ……と渇いた笑いが込み上げた。


羨ましいと思われるなんて思ってもみなかったから。




『なにいってんの?浮気されるような男だよ?俺(笑)』




そう返信してそのまま目を閉じる。


そうだよ、俺は浮気されるような男なんだ。


ありさがずっと俺のことを好きなんだって勘違いしてた。


だからたかをくくってたのかもしれない。


他の男に目を向けるなんて思ってもいなかったんだから、俺はおめでたい。


リョウからの着信音がして、目を開ける。




『それでも、羨ましいです

愛の形って、人それぞれなんだなぁと感じました

頑張ってくださいね?

私はいつもレオさんを応援してます』




自然と顔が綻ぶのがわかった。


リョウの言葉はいつも俺に元気をくれる。


今度は本当に羨ましいと思われるような夫婦になろうと思えた。


そして俺はその日から変わった。


仕事だけじゃなく、家事も育児も出来るだけやるようにしたのだ。

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