浮気の定理-Answer-
もしかしたら、ここから本当の夫婦になっていくのかもしれない。


若くして結ばれた俺たちの結婚は、おままごとみたいなもので……


俺はありさに寄りかかってばかりの子供だったんだと気づく。


家の中だけの狭い世界の中で、ありさの心のどこかにうすら寒い空虚な部分が生まれたことを俺は知らなかった。


そしてそれを埋めたのは俺じゃなく、見たこともない他の男だった。


それがすごく悔しくて、悲しくもあったけど、こんなことがなかったら俺は、一生ありさの心の隙間を埋めることなく、熟年離婚でもされていたんだろう。


だからまだ良かったのかもしれない。


神様は俺にやり直す機会を与えてくれたんだから……


風呂の掃除を終えて湯船にお湯を張る。


家事を手伝うようになってわかった。


主婦の仕事は大変で、それに子育てが加わると倍以上の負担がある。


今は子供が大きくなり、ずいぶん手は離れたけれど、小さい頃は今よりもずっと大変だったんだろう。


なにも知らずに自分だけが仕事で大変だなんて思ってた頃が恥ずかしい。
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