浮気の定理-Answer-
俺の対面のフローリングの床にきっちり正座する涼子は、きっと反省していることをアピールしてる。



「なんでこんなに遅くなったんだ?」



低く冷たい声でそう聞けば、涼子は震える声で謝ろうとした。



「……ごめんなさ「理由を聞いてるんだ!答えなさい!」



謝るのは当然のことだが、今聞いてるのはその理由。


昔から涼子はそういうところが頭が悪い。


何度も同じことを言わせてる時点で、もう頭が悪いことを証明してるようなものだけれど。


黙っていればまた叱られることだけは学習したのだろう。


彼女が慌てて並べ立てた理由に、俺は心底呆れ果てた。


デパートでバレンタインのチョコレートを買っていたのだという。


そんなものを貰って俺が喜ぶとでも思ってるんだろうか?


毎月渡している生活費の中で、花と一緒に安価なチョコレートを溶かして作るのならばまだいい。


望んでるのはそういうことだとなぜわからないんだろう?



「そのチョコレートを買う金は誰が稼いだ金だ?」



思わず俺は言っていた。


こんなこと言いたい訳じゃないけれど、無駄遣いをするなと釘をささなければ涼子は気づかない。

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