浮気の定理-Answer-
涼子の顔を見ると、目を瞑ったまま壁に寄りかかってる。


俺は動揺した。


なぜ涼子がそこまで俺を拒むのかがわからなかった。


言葉だけじゃない。全身で俺を拒絶してる。


力ない人形のようにボロボロになってるくせに、はっきりと俺を受け入れないのだと意思表示していた。


慌てて指を引き抜くと、動揺しているのを悟られないように余裕なふりをして立ち上がる。


それからリビングのドアを開きかけて捨て台詞のように言い放った。



「とにかく、バザーには行くな!

旅行を優先させろ!わかったな!」



チラリと涼子を見れば、寄りかかった壁からズルズルと床に崩れ落ちている。


自分の抵抗が何の解決にもならなかったんだと、絶望を感じているような表情だった。


そうだ、思い知るがいい。


お前が俺に反抗することなど出来やしないのだ。


例えお前が今後、同じことを繰り返したとしても、今日のように黙って終わことはないだろう。


次はない。わかるまで体に言い聞かせるだけだ。


そしてお前は嫌でも俺に抗えなくなる。
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