浮気の定理-Answer-
そんなに必死に庇うなよ。


俺がそんな小さな子供に暴力を奮うと本気で思ってるのか?




「涼子!どきなさい!」




花に、きちんと言い聞かせなければならない。


親に向かってそんなことを言ってはいけないんだと。


けれど涼子は怯まない。


いつもならビクビクと俺の顔を窺ってばかりのくせに、花に覆い被さり必死に庇う涼子。




「花には手をあげないと約束してください!」




おまけに俺を睨みながら、命令までしてくる始末。


違うだろ?命令していいのは、お仕置きをしていいのは、俺だけだ。


それが愛情の裏返しなんだってことはお前が一番よく知ってるだろう?


殴られて満ちる涼子はそれを体で感じてるはずだ。


俺がお前にお仕置きをするのは、愛していればこそなんだと……


それにお前も応えてきたじゃないか!


そう思ってからハッとする。


先日のお仕置き――


あの日、涼子は初めて俺を拒んだ。


言葉だけじゃなく、体さえも応えることはなかった。


あのときの恐ろしかったイメージを振り払う。

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