浮気の定理-Answer-
明日からしばらく有休を取ろう。


俺はそう決めていた。


まだたくさん残っていたはずだ。


温泉に家族旅行をしたときの1日だけしか使っていない。


あの母親が娘と孫を差し出すつもりがないのなら、考えがある。


戻ってくるまで、しつこく追い続けるまでだ。


涼子だって、まさか本気で花を父親のいない子にするつもりはないだろう。


少しヘソを曲げて実家に帰ったものの、帰りづらくなっているだけなのだ。


首をコキッと鳴らしながら、俺は薄く笑みを浮かべる。


帰ってきたら、どんなお仕置きをしてやろうかとあれこれ考えた。


あの白い肌に赤くみみず腫のような痕が浮かび上がるのを想像して、やけに興奮した。


涼子は涙を流しながら許しを乞うだろう。


それから苦し気な表情で、俺を愛してると囁くのだ。




「ククッ」


思わず笑い声が漏れた。




なんだかんだ言ったって、涼子は俺のことを愛している。


逃げ出したくなることも時にはあるかもしれないが、最後は俺なしでは生きていけないのだ。

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