浮気の定理-Answer-
次の日の朝、俺は職場にしばらく休むと連絡を入れた。


車を出して涼子の実家の周りを注意深く観察する。


一軒家の2階のベランダには、涼子と花のものと思われる洗濯物が、しっかりと干されているのが見えた。




--あの女、嘘つきやがって




俺の怒りは涼子の母親に向かう。


きっと涼子が帰りたいと言ってるのを阻んでいるのはあいつだ。


少し離れた場所に車を停めて、目立たないように玄関を監視した。


そろそろ花が幼稚園に行く時間だ。


涼子と出てきたら、そこで二人を捕まえることが出来るかもしれない。


案の定、玄関のドアが開き、花が園服に鞄を斜めにかけて出てきた。


しかしそのあとに続いて出てきたのは涼子ではなく、母親の方だった。


眉間に皺が寄るのを感じながら、俺は自分の計画を変えなくてはいけないことに苛立つ。


手出しできない距離で二人を見つめていると、向こうから水色のコンパクトカーがやってくるのが見えた。


涼子の実家の前にそれは停まり、母親と花が乗り込んでいく。


運転席を見ると、そこには見覚えのある顔があった。


あれは確か……涼子の友人だ。

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