浮気の定理-Answer-
「なんでそんなこと確認する必要があるんだ!

花!花!出てきなさい!

パパと一緒に帰ろう?」




保育士を無視して上がり込もうとすると、他の先生達まで出てきて俺を止めようとする。


挙げ句の果てには年配の先生に「警察を呼びますよ!」とまで言われる始末だ。


結局、花が怯えていると聞かされて、仕方なく俺は引き下がった。


きっと涼子が父親には渡さないよう、幼稚園側に伝えてあったんだろう。


俺はそれから一週間、涼子の実家に通い続けたが、結果は同じだった。


そろそろ仕事に行かなければまずいと思い始めた頃、一通の封書が届いた。


それは涼子からのもので、別れたいという内容の手紙と離婚届が一枚入っていた。


まさか本気で離婚したいって言うのか?


きっとあの母親にそそのかされたに違いない。


涼子は俺のことが好きなんだから……


離婚届の紙をグシャグシャと手で握りつぶすと、そのままゴミ箱に投げ入れた。


離婚なんかするもんか!


そう強く思う。


裁判にする覚悟だってある。


花は俺の娘だし、涼子は俺の妻なのだ。

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