浮気の定理-Answer-
また電話が鳴り響く。
母親だということはわかりきっていた。
だから俺はもう受話器を取ることはしなかった。
正直、疲れていた。
毎日毎日仕事のあとは、涼子の実家に出向き、休みの日にも朝から涼子に一目会いたいと、出掛けていく。
性格上、涼子がいなくても家事は完璧にこなしているのもあって、余計に疲労が蓄積されているのかもしれない。
誰もいない部屋には、不経済だが電気をつけておくことにした。
帰宅したときに、少しでも落ち着けるように……
おかげで涼子が帰ってきたんじゃないかと、玄関で待っている自分に気づいて苦笑することもあったけれど。
まだ、電話は鳴り続けている。
いいかげん、諦めろよ!
そんなに鳴らし続けたって出る気はない。
いっそのこと電話線を抜いてしまおうか?
そんな考えが頭をよぎる。
けれど、そんなはずはないのに、もしかしたら涼子から連絡があるかもしれないと思うと、それも出来なかった。
スマホさえ繋がらないのに、家の電話にかけてくるなんて皆無に等しいのに、そんな微かな希望を捨てられないでいる。
母親だということはわかりきっていた。
だから俺はもう受話器を取ることはしなかった。
正直、疲れていた。
毎日毎日仕事のあとは、涼子の実家に出向き、休みの日にも朝から涼子に一目会いたいと、出掛けていく。
性格上、涼子がいなくても家事は完璧にこなしているのもあって、余計に疲労が蓄積されているのかもしれない。
誰もいない部屋には、不経済だが電気をつけておくことにした。
帰宅したときに、少しでも落ち着けるように……
おかげで涼子が帰ってきたんじゃないかと、玄関で待っている自分に気づいて苦笑することもあったけれど。
まだ、電話は鳴り続けている。
いいかげん、諦めろよ!
そんなに鳴らし続けたって出る気はない。
いっそのこと電話線を抜いてしまおうか?
そんな考えが頭をよぎる。
けれど、そんなはずはないのに、もしかしたら涼子から連絡があるかもしれないと思うと、それも出来なかった。
スマホさえ繋がらないのに、家の電話にかけてくるなんて皆無に等しいのに、そんな微かな希望を捨てられないでいる。