浮気の定理-Answer-
次の日は土曜で休みだった。
俺はまた涼子の実家を訪れるために、朝から出掛ける準備をする。
ここ1ヶ月ずっと続いている自分の行動は、もうすっかり習慣のようになっていた。
ピンポーン……
玄関のチャイムが鳴り、俺ははたと手を止めた。
誰だろう?
壁にかかっている涼子の選んだ仕掛け時計の針は、10時を指していた。
もしかしたら、涼子が帰ってきたのかもしれない。
ごめんなさいとそう謝れば、許してやろうと俺は思う。
逸る気持ちを抑えて、玄関へと向かい確認もせずにドアを勢いよく開けた。
「――ッ!」
そこに立っていたのは焦がれていた涼子ではなく、今一番会いたくないと思っていた、俺の母親だった。