浮気の定理-Answer-
BARにて⑧
カウンター席で潰れてる客を横目で見ながら、俺はそっとため息をついた。
嫌なことでもあったんだろうが、閉店間際のこの時間に一人で潰れる客はタチが悪い。
介抱してくれる相手も連れ帰ってくれる相手もいないからだ。
結局、それは店側が全部やらなくてはならない。
その前にやんわりと酒から水にシフトチェンジさせることもあるけれど、今日は金曜ということもあって一人の客にかまってられるほど暇ではなかった。
店内が落ち着いた頃を見計らって、仕方なく声をかけてみる。
「お客様、大丈夫ですか?そろそろ閉店になりますが……」
少しだけ肩を揺さぶってみても、一向に起きる気配がない。
何度か声をかけるとようやくのろのろと体を起こして、内ポケットから財布を取り出した。
何枚か札を抜き取ると、まだふらつく体でカウンターの上に無造作にそれを置く。
まるで金は払ったんだからいいだろ?と言ってるかのように、その客はまたそのままカウンターに突っ伏した。
「お客様、困ります。もう閉店になりますので、お帰り頂かないと」
内心舌打ちをしながら、それでも一応客なのだからと優しく諭すように声をかける。
嫌なことでもあったんだろうが、閉店間際のこの時間に一人で潰れる客はタチが悪い。
介抱してくれる相手も連れ帰ってくれる相手もいないからだ。
結局、それは店側が全部やらなくてはならない。
その前にやんわりと酒から水にシフトチェンジさせることもあるけれど、今日は金曜ということもあって一人の客にかまってられるほど暇ではなかった。
店内が落ち着いた頃を見計らって、仕方なく声をかけてみる。
「お客様、大丈夫ですか?そろそろ閉店になりますが……」
少しだけ肩を揺さぶってみても、一向に起きる気配がない。
何度か声をかけるとようやくのろのろと体を起こして、内ポケットから財布を取り出した。
何枚か札を抜き取ると、まだふらつく体でカウンターの上に無造作にそれを置く。
まるで金は払ったんだからいいだろ?と言ってるかのように、その客はまたそのままカウンターに突っ伏した。
「お客様、困ります。もう閉店になりますので、お帰り頂かないと」
内心舌打ちをしながら、それでも一応客なのだからと優しく諭すように声をかける。