浮気の定理-Answer-
だから俺は言ってやったのだ。


あれは俺のせいじゃないんだと。木下の旦那が黒幕なんだと。


口止めのための金だったけれど、そんなこと知ったこっちゃない。


こんな目にあうなんて聞いてなかったし、そもそもこんなリスクがあるならあんなはした金じゃ割に合わないのだ。


驚いた顔をした真由と名乗る女は、木下の旦那を知っているのだろう。


俺はこれで自分は大丈夫だと少しだけホっとしていた。


俺は頼まれたのだ。木下の夫に薬を渡されて眠らせて好きなようにして証拠を残せと。


金まで渡されたのだから、それは俺のせいじゃない。


あくまで仕事として、金のためにやったこと。


木下をどうにかしようと思ってたことなど、この女にわかるはずもないと。


それに木下にはもう近づくのはよそうと、この時点で俺は決めていた。


こんな危ない女が木下のそばにいたなんて聞いてない。


本当に警察にでも通報されたら実行犯は俺なのだ。


木下の夫がいくら主犯格だとしても、自分が捕まらない保証などない。


それなのに、女はまだ俺に念を押してくる。


俺の恥ずかしい写真を目の前にチラつかせて、もしまたなにかあれば、この画像をばらまくからと。


あろう事か俺が木下にしたのと同じ方法で。


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