浮気の定理-Answer-
断る理由が見つからないくらい彼女はいい子だったし、年齢に差はあるもののしっかりしていて落ち着いた雰囲気のおかげでそれほどジェネレーションギャップを感じることもなかった。


俺自身が年齢よりも若く見られるせいもあったかもしれないけれど、よくパートの菊池さんたちにもお似合いだと冷やかされたりしたっけ。


付き合い始めてから半年くらいがすぎた頃、俺は店舗から本社に異動が決まり、そのタイミングで結婚を決めた。


まだ若い彼女に結婚は早いかなとも思ったけれど、離れてしまうことに不安そうな彼女を安心させてやりたい気持ちと、自分もそろそろ身を固めたいという思いがちょうど重なったのだ。


彼女はとても喜んでくれたし、結婚してからも上手くいっていると思っていたのに……


この頃は早く帰れる日も、なんとなくまた自分の知らない彼女を見てしまうのが怖くて、つい寄り道をして飲めない酒を飲んでしまう。


はっきりしない優柔不断な自分に嫌悪感を抱きながらも、どうにも出来ないでいた。


事態が変化したのはそれから数日後のこと。


それはあゆみの一言がきっかけだった。
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