浮気の定理－Answer－
勝手に子供のせいと決めつけていたけれど、彼女は一度だって旦那さんを悪く言うことはなかったし、きっと俺が誘わなければあんなことにはならなかったんだろう。


結局、俺は自分のエゴで清水さんに後ろめたい思いをさせただけだったのかもしれない。


好きな気持ちをただ押し付けることしか出来なかった俺を、否定することも肯定することもせず去っていくことを選んだ彼女は、きっといろんなことをリセットして新しい道を選んだのだと思った。


あゆみはどうなんだろうか？


あゆみは俺とやり直したいと思っているんだろうか？


そのために一度実家に帰ったのか、それともこのまま俺と別れて浮気相手と一緒になるつもりなのか……


どちらにしろ、俺はきちんとあゆみに謝らなきゃならない。


あゆみの愛に甘えて、彼女をちゃんと見ようとしていなかったことを。


俺に愛想をつかせて出ていったのだとしても、そこだけはちゃんとけじめをつけたい。



「菊池さん、ありがとうございます！俺、ちゃんと迎えに行きますから。心配かけてすみませんでした！」



深々と頭を下げながらそう言うと、菊池さんは少しホッとしたように目尻を下げる。



「飯島くんもあゆみちゃんも、娘と息子みたいなもんだから、幸せになってほしいの。あんたたち気付いてないかもしれないけど、似たもの同士だと思うわよ？相手のこと思いやりすぎてちゃんと気持ちを伝えられないとことか」



まったく、世話が焼けるんだからと豪快に笑いながら俺の肩をバシッと叩くと、菊池さんはそのまま仕事に戻って行った。



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