浮気の定理-Answer-
結局、紗英は店を持つオーナーである俺が好きだったのだ。
俺の付加価値に目をつけて、俺に子供がいないことや、桃子が店を手伝わないことを逆手に取って、自分でも気づかなかった隙間に入り込んできた。
それにまんまと引っかかった俺も俺だけど、きっとそれだけ桃子には後ろめたい思いや劣等感を持っていたのかもしれない。
世の中には女の稼ぎを当てにして自分は楽をするようなヒモみたいな男もいるけれど、自分が家族を養って守っていきたいという男の方が多いんじゃないかと思う。
それが男としての喜びだったり優越感を満たしてくれるのだ。
桃子はとても献身的な妻で、自分の方が稼ぎが多くてもそれをひけらかすような女ではなかったし、店が苦しい時もさりげなく援助してくれるような優しさも持ち合わせていた。
俺が卑屈にならないように、俺の料理の腕をいつも褒めてくれたし、大丈夫だからと労りの言葉も何度となくかけてくれていた。
本当にできた妻だったし、なにより俺を愛してくれていたのだと、こんな風になって初めて思い知らされる。
そしてきっとそんな彼女だからこそ、俺は自分が惨めで情けなくなっていったのだということも……
俺の付加価値に目をつけて、俺に子供がいないことや、桃子が店を手伝わないことを逆手に取って、自分でも気づかなかった隙間に入り込んできた。
それにまんまと引っかかった俺も俺だけど、きっとそれだけ桃子には後ろめたい思いや劣等感を持っていたのかもしれない。
世の中には女の稼ぎを当てにして自分は楽をするようなヒモみたいな男もいるけれど、自分が家族を養って守っていきたいという男の方が多いんじゃないかと思う。
それが男としての喜びだったり優越感を満たしてくれるのだ。
桃子はとても献身的な妻で、自分の方が稼ぎが多くてもそれをひけらかすような女ではなかったし、店が苦しい時もさりげなく援助してくれるような優しさも持ち合わせていた。
俺が卑屈にならないように、俺の料理の腕をいつも褒めてくれたし、大丈夫だからと労りの言葉も何度となくかけてくれていた。
本当にできた妻だったし、なにより俺を愛してくれていたのだと、こんな風になって初めて思い知らされる。
そしてきっとそんな彼女だからこそ、俺は自分が惨めで情けなくなっていったのだということも……