浮気の定理-Answer-
もう一度チャイムを押そうとしたとき、ふいに後ろから声をかけられ振り返った。


その声の主を見て目を見開く。


どういうことだ?これはいったい……




「すみませんが、ご同行願えますか?」




目の前には警察官が二人立っていた。


ありえない展開に頭がついていかない。




「な、なんでですか?僕は何もしてない!」



そう、俺は何もしてない。


ただ、紗英と子供に会いに来ただけのこと。


それの何がいけないんだ。


俺の子供なんだ!俺と結婚していたはずの妻がここにいるんだ!


むしろ騙されたのは俺の方じゃないか!



頭の中てそう叫びながら、一歩後ずさる。



なにがどうなっているのかまったく見当もつかなかった。



「こちらのお宅には何をしにいらしたんですか?」



「つ、妻と子供に会いにきたんです」



「妻と子供……ですか」



気の毒そうな顔で俺を見る警察官に、心臓が尋常じゃないくらいバクバクと音を立てている。


なんだ?その信じてないような顔は……


嘘だと思うなら証明してやる!



「紗英!紗英!ここを開けてくれ!子供の顔をみにきたんだ。いるんだろ?紗英!なあ!この人たちに説明してくれよ!紗英!」


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