浮気の定理－Answer－
彼女と初めて会ったのは、車を車検に出しにきた時だった。


大学の先輩である彼女の父親に頼まれ、普段は店に出ない役職の俺が、わざわざ出向いたのだ。


てっきり先輩が来るんだと思っていた車検当日。


代わりに来ていたのが、先輩の娘である真由だった。


28歳という年齢よりだいぶ若く見える彼女は、笑顔の可愛いお嬢さんという印象で、当初は女としてよりも娘みたいな感覚で接していたと思う。


自分にも同じ年頃の娘がいたし、彼女に性的な感情を持つなんて思ってもみなかった。


「食事に連れてって下さいよぉ」


鼻にかかった甘えたような声で、彼女はその日から何度も俺を誘ってきた。


携帯の番号は名刺に書いてあったから、それを見てかけてきているんだろう。


何回かは、はぐらかしていたものの、彼女の押しは思った以上に強く、仕方なく一回くらいならと誘いに乗ってしまったのが始まりだった。
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