浮気の定理-Answer-
最初はたったの5万程度だったのに、それがいつの間にか10万、20万と借金は嵩んでいき、今では30万を超えそうな勢いだ。


返済した金は全て利息に消え、元金はいつまで経ってもなくならない。


男の申し出は、正直さっきの条件よりも魅力的にみえた。


木下を好きにしていい上に、金までもらえるなんて……


そこまでしなきゃならないほど、この男も切羽詰まってるのかもしれない。


慰謝料を払いたくないと言っていたくせに、俺には金を払おうとしているんだから。


「……わかりました

その依頼、引き受けましょう」


最後は金に負けたようなものだ。


実際、どんどん増えていく借金に頭が痛かったのは本当だ。


木下には悪いが、やるからには楽しませてもらう。


恨むなら、自分の旦那を恨めという気持ちだった。


俺は差し出された薬を無言で手に取ると、覚悟を決めた。


男の計画はこうだった。


木下を睡眠薬で眠らせ、送ると偽り自宅まで連れ帰る。


あとは俺の好きにしていいが、必ず証拠の写真を残せという指示だった。

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