浮気の定理－Answer－
だったら、あの日そういう関係になったんだってことを、木下の記憶に植え付ければいい。


教えてなんかやるもんか。


なにもなかったなんて……


「えっと……どういう意味？

あ、送ってくれてありがとう

そのことかしら？」


木下の手が少しだけ震えてるのがわかる。


そうまでして、どうしてもあの日俺の家にいたって事実を消したいらしい。


以前は、距離を置かれてるってわかってても、飲み会で隣に座ってるのに、俺とはあまり話してくれなくても、高嶺の花なんだって我慢できてた。


側にいれるだけで、満足してる部分があったのかもしれない。


もともと彼女には一度フラれているし、なにより人妻なんだからと、納得していたのだ。


だけど一度は触れることの出来る距離まで近付き、彼女の裸体をこの目に焼き付けてしまった今、忘れることなんか出来ない。


「あっそ、そういう手段に出るんだ

じゃあ、俺にも考えがあるんだけどなぁ

いいのかな？」


追い詰めれば、もしかしたら、今度は本当に俺のものに出来るかもしれないと思った。


木下の態度を見ていたら、欲が出たのかもしれない。


どうせ嫌われているなら、もっと嫌われたところで何も変わらないんだと……


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