浮気の定理-Answer-
それでも体よくあしらわれた俺は、自分の中の何かがプツリと切れたような気がした。


愛情から憎悪へと変わる瞬間だったのかもしれない。


あの男から写真で脅せと言われても、ついさっきまではそんなつもりは更々なかった。


あれは自分一人で楽しめばいいんだと、木下に会うまでは思っていたのに……


金さえ手に入れれば、解放してやるつもりだった俺の気持ちを、木下は踏みにじったのだ。


夫に浮気され、裏切られてるとも知らないで、バカな女だと思う。


会議になど集中出来るはずもなく、俺は首をコキッと鳴らした。


あの女は、昔から俺をバカにしているところがある。


仕事も少し俺より出来るからって、見下したところがあった。


脱がせちまえば、ただの女のくせに。


あいつを手に入れた時、優位に立つのは俺になる。


俺の下で、いろんな意味で泣かせてやれば、あいつも自分がただの女だったんだと自覚するだろう。


それを想像しただけで、俺は笑いが止まらなかった。


切り札を持っているだけに、これは妄想なんかじゃなく、現実に出来ることだからだ。
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