浮気の定理-Answer-
俺は静かに時を待った。


すぐに行動に移してもつまらない。


安心させておいて落としてやるつもりだったからだ。


その方がダメージも深いに違いない。


準備は着々と進めていた。


まあ、準備といっても、会社のパソコンにあの画像を家から送っただけなのだけど……


残業と称し、みんながいなくなったオフィスで一人、こっそりとそれを開いてみる。


それは自分の部屋で見るよりもずっと淫靡で、興奮するものだった。


誰が来るかもわからない空間。


あの職場のマドンナ的な木下の、淫らな姿が自分の手の内にあるという快感。


俺はしばらくの間、そんな就業後の秘密をこっそりと楽しんだ。


それもだんだん飽きてきたのが、それから一ヶ月後。


俺は自分だけで楽しむことに飽きて、木下に見せつけることで喜びを得ようとした。


今度はみんながいる就業時。


メールに画像を添付して、木下のパソコンに送りつける。


もちろん、周りにバレてしまっては、俺の立場が危うい。


だから木下のパソコンの周りに、人がいないことをきちんと確認した。

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