浮気の定理-Answer-
タクシーに乗り込むと、俺は少なからずホッとした。


これで逃げられる可能性が半分に減ったような気がしたから……


このまま、自宅に連れ込めば、一気に事を進められる。


俺は逸る気持ちを抑えながら、あと一息だとほくそ笑んだ。


だから彼女がコンビニに寄りたいと言ったとき、思わず眉をひそめてしまったのだ。


まだ逃げる気なんじゃないかと……


けれど女性ならではの支度があるんだと言われれば、断るわけにもいかない。


おまけに泊まるなら余計に必要なものがあるんですなんて笑顔で語る彼女に、舞い上がってしまったのは確かだ。


タクシーを待たせたまま、コンビニに入る。


彼女が、化粧品やら下着やらを見てる間、俺は素知らぬ顔で、ゴムを買った。


やはりそれくらいは常識だろう。


妊娠させるリスクはもちろん、こんなにほいほい着いてくる女なのだ。


病気の心配だってある。


俺は買ったゴムをポケットに忍ばせ、もう一度かごを持ち、今度はつまみや酒をその中に入れた。


そして彼女のそばに近付き、持っていたものを全て同じかごに入れさせる。
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