浮気の定理－Answer－
部屋の中を珍しいものでも見るように、キョロキョロと視線をさ迷わせる彼女は、ゆっくりとこちらに歩いてくる。


なかなか座らないことに苛立ちを感じながら、それでもがっついてると思われたくなくて、隣に座るのをじっと待った。


ソワソワしながらさっき買ってきた缶ビールのプルトップを開けて、一気にあおる。


ぷはーっと息を吐いて、テーブルに缶を置いたと同時に、彼女が俺の隣にようやく座った。


さっきのbarの席よりも、もっと近い距離。


間近に見る彼女の肌は滑らかで、あの日見た木下の肌を思い出した。


この女を特に好きな訳じゃない。


けれど木下に出来なかったことを、この女になら出来ると思った。


見た目が全然違う二人でも、目を瞑れば木下を抱いてるような気になるかもしれない。


画像を見ながら鬱々と一人で処理していたのとは違う、生身の体。


それが今、ここにある。


嫌がるでもなく、ここまで着いてきたのだから、当然このあとすることはわかってるんだろう。


きっと、この女も欲求不満で、やりたかっただけなのかもしれない。


だから、わざわざ俺なんかの隣に、座ったんだろうから……
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