浮気の定理-Answer-
「な……んで?

お前……なん…なんだよ!」


状況が呑み込めなくて、俺は思わずそう叫んでた。


同時に体を起こそうとして、自分が後ろ手に縛られていることに気付く。


怒鳴ってみたところで、圧倒的に不利なのは自分だった。


意識を失っていたのも、この女の仕業だろう。


腹部に残るチリチリとした痛みが、その証拠だ。


――迂闊だった……


なんで、こんないい女が俺なんかを誘ってると思ったんだろう?


きっと、計画的なものだったに違いない。


用意周到に俺を誘い、まんまと家にまで乗り込んで、いったい何をするつもりなんだ?


強盗ってことはないだろうと思う。


こんなアパートに住んでいて、しかも借金まみれの俺なんか、襲ったってなんの意味もないんだから……


だとしたら、なんだ?


何が目的なんだ。


女は俺を見下ろして、不敵な笑いを浮かべてる。


そして女が口にした名前を聞いて、俺は驚愕した。


「木下桃子に2度と関わらないって約束しなさい」


「……っ!お前……木下の……」


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