浮気の定理-Answer-
そうだ!会社のパソコンに保存してある分までは、手を出せないだろう。


そう、わずかに安堵したのを見透かしたように、女は得意気に言ってのけた。


「言っとくけど、会社のパソコンなら、もう手は打ってあるから」


この女が、はったりで物を言ってるんじゃないってことは、今までの行動からもわかる。


手を打ってあると言うのだから、きっともう会社のパソコンにも木下の画像はないんだろう。


もう、あの美しい裸体を目にすることが出来ないんだと思ったら、悲しみと怒りがこみあげた。


俺は木下を犯したりしなかったんだ!


あんなに完璧で美しい裸体を目の前にして、少し触れるだけにとどめたっていうのに。


なのに、なんでこんな仕打ちを受けなきゃならない?


怒りの矛先は、俺を仁王立ちで見下ろすこの女に向かった。


――覚えてろよ!絶対に、許さない!


俺の怒りが伝わってるのかいないのか、女は特に怯む様子もない。


「わかったわね?

もう職場で木下桃子に近付かないこと

それと、私のことも詮索しないこと

もし、それを守らずにストーカー行為をするようなら、こちらにも考えがあるから、覚悟するのね」

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