浮気の定理-Answer-
一度だけのつもりだった彼女との夜は、今度は俺がそれじゃすまなくなった。


仲が悪いわけでもない妻との夜の営みは、年齢を重ねるごとに減っていき、何年か前からはまったくない。


それが自然だと思っていたし、妻に不満を持っているわけじゃなかった。


いつも笑顔で出迎えてくれる妻を愛していたし、なにより安心できる場所だった。


なのに……


久しぶりの行為は、俺を夢中にさせた。


加えて彼女の体が忘れられなくなった。


妻には申し訳ないと思いつつ、俺は真由に溺れていった。


好きかと聞かれればよくわからない。


ただ、彼女の体に翻弄され、そこから抜け出せなくなったのだ。


抱きたくなれば彼女を呼び出し、彼女もまたそれに応える。


そんな俺たちの関係は、一年以上続いた。
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