浮気の定理－Answer－
「あ……はい！

こちらこそよろしくお願いします！」


慌ててそう言うと、ピョコンとその長身な体を半分に折り曲げた。


副店長ってだけで、こんなに崇められるのは、久しぶりだ。


今じゃ、パートさんたちともすっかり馴れ合っちゃってるから、こんな反応、新鮮すぎる。


確か自分より少しだけ歳は下だったか？


でもこの若さで家庭を持って子供も育ててるわけだから、僕なんかよりよっぽど人生の経験値は上だななんて考えてたら、彼女としっかり目が合った。


目が合った……というより、彼女がジッと僕を見てるといった方が正しいかもしれない。


あまりにジッと見つめられて、僕は思わず目を逸らした。


「あ……すみません！

えっと……副店長さんてもっと年上なのかと思ってたからビックリしちゃって」


あぁ、そういうことか……と、その意味を理解する。


若く見えて嬉しいなんて、女性だけの特権だ。


男でしかも役職についてる場合、それはことごとく良くない方に働く。


若くもないのに、まだまだ若輩だと思われて、貫禄なんて言葉はほど遠い。

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