浮気の定理-Answer-
どうやら誉めてるというよりも、恨めしいといった口振りで、彼女は頬を膨らます。


思わず笑ってしまいながら、僕はわざと彼女に言った。


「もしかして、妬いてます?僕の肌に」


彼女は僕の目にもわかるくらい、明らかに顔を真っ赤にして、動揺してる。


その姿が可笑しくて、思わずクスクスと笑ってしまった。


「清水さんみたいな綺麗な人に妬いてもらえるなんて、嬉しいなぁ」


彼女は自分をひどいと言うけれど、真っ赤になってる彼女の顔はけしてそんなことはなくて……


化粧っけもないのに、充分綺麗だった。


逆に言えば、そんなにゴテゴテ化粧をしてないのにこれだけ綺麗なのだから、自慢してもいいくらいだと思う。


「僕、この肌……実はすごいコンプレックスだったんですよ

男のくせにツルツルしてて、そのせいでガキに見えるみたいで……

おかげで菊地さんみたいなパートさんには舐められちゃうし」


そう言って肩を竦めて見せると、申し訳なさそうに彼女は俺を見た。


言っちゃいけないことを言ってしまって叱られた子供みたいに……

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