題名のない恋物語

一瞬何を言っているのかさっぱりわからなかった。






「嫌？」



いや、嫌とか嫌じゃないとかじゃなくて。



「チャラいよいつもの涼じゃないよ…どうした？疲れてるの？悩みがあるなら聞くぞ？」






普段の涼だったら絶対にこんなノリみたいな感じでそういうことは言わない。乙女心を理解できるタイプではないけど、涼は真っ直ぐだし誠実だし優しいからだ。だから驚きの後に来た感情は心配だった。


本気で心配していると、涼はそっぽを向く。





「うるさいな、冗談に決まってるだろ」

「仮にも君彼女と別れたばかりなんだからそんなチャラいこと言ってると女性を敵に回すぞ」




そう言うと涼は少し拗ねたような表情をしながら私を真っ直ぐ見つめた。