題名のない恋物語
「じゃあとりあえず出るか」
「うん」
リュックを背負ってトレーを片付ける。外に出ると夕焼けが綺麗に見えた。
他愛のない話をしながら歩いていく。
私たちは交際関係にない。友達だ。だけど周りから見たら、こうやって並んで歩いている姿はただのカップルにしか見えないのだろうか。たまに擦れるように触れる腕が温かい。不思議な気持ちだけど、なんだかほっとした。
中学と比べていつのまにか身長を越されて、影を見ると自分よりも頭一個分大きい。なんだか変な感じだ。小学校の頃なんて私よりも小さかったのに。
歩みを進める度に薄暗くなっていく。だけどまだ帰らない。それがなんだかワクワクして、私は大きく息を吸い込んだ。