題名のない恋物語
姉は散らかった服を片付けながらベッドの側に座る。私も体を起こして散らかった部屋を見渡した。
「まあそんなに気合い入れた方がいいわけじゃないなら、なんであんたそんなに悩んでんの?別に恋愛として好きじゃないんでしょ」
「そのはずなんだけどなぁ…」
なぜか決まらなかった。明日の気温とか、スカートとパンツどっちがいいかなとか、デートファッションとか、涼はどういうファッションが好みなのかなとか、色々考えれば考えるほど、何を着ていけばいいのかわからなくなる。
あんまり気合い入れた格好してもなんか違うし、ラフすぎてもあれだし、だいたい涼は顔だってわりと整ってるのに背が高いからどんなファッションでも様になる。
その隣を歩くなら、変な格好はできない。私は美人じゃないから、せめてそういうところに気を遣いたい。
「そのデートの相手って、どういう人?」
「同じ学校の人」
「今までの彼女はどういうタイプ?」
「えー…わりと様々だったよ。1番新しいのはわかりやすく可愛い系。目が大きくて華奢で。服は女の子らしい感じだった気がする」
「何しにいくの?」
「映画見たり…新しくできたショッピングモールいくよ」
「ほう」
「ま、まさかこの引き出された情報から1番適切な服装を選ぼうとしてくれてる…?!」
「んなことできないわ。ただの興味よ」
「だよね」