題名のない恋物語
朝はあまり得意ではないけどなんとか寝坊せずに目を覚まし、顔を洗う。朝食を済ませて服を着替えるとなんだか緊張してきた。
髪の毛はゆるく巻いてから一つに結い、くるりんぱをした。メイクはリップと薄くチークをして、ビューラーでまつ毛を上向きにした。眉毛は軽く整えたが、とにかくほとんど姉にやってもらったため何が何だかわからない。
準備万端で家を出る。どうしよう、ワクワクが止まらない。自然と足早に歩いてしまい、約束の時間の10分前に駅に着いた。
さすがにまだ来ていないだろうと駅内の柱にもたれる。
涼に着いたよと連絡しようとスマホを取り出すと、1分前に涼から着信があった。
急いで折り返すと、涼はすぐに電話に出てくれた。
「はい」
『あ、理紗。おはよ。もうちょいで着くんだけど、理紗今どの辺?』
何気に電話は初めてだった。電話越しに涼の少し掠れた声が聞こえて、まだ眠いのかなと小さく笑みをこぼす。
「今駅に着いたとこ。きっぷ売り場の近くの柱にもたれかかってるよ」