題名のない恋物語
再び気まずい空気が流れてしまう。辛うじてフードコートが騒がしいためあまり辛くはないけれど。
なんか話題をと考えているうちに、涼はうどんを食べ終えたらしい。小さく「ご馳走さまでした」と言って手を合わせていた。
それを横目で見守っていると、覗き込むようにしてこちらを見てくる。
「…俺は、理紗といると楽しい。今日はいつもと雰囲気違うからなんか変な感じするけど、そういうのもかわいいし似合ってるし気まずいのも含めて、俺今日、すげえワクワクしてる」
「っ」
やだ。またそうやって、熱のこもった目で私を見ないで。
だってそんな目で見られたら、死んじゃうから。もたないから。
「…や、やめて。そういうの、ほんとに恥ずかしいから……」
このバカ涼。自惚れたくなるじゃんか。
私だって、ワクワクしてるのに。あなたみたいに真っ直ぐ伝えられるほどの勇気は、私にはまだない。