題名のない恋物語
今だって映画までの時間を潰すためにショッピングエリアをウロウロしてるけど、理紗はお店のクッションをぎゅーっと抱きしめて癒されていた。
「これすごいきもちいー…もちもちしている…あっ、あっちのタオルもふもふしてる触りたい」
触り心地がいいものが好きなのだろうか。目をキラキラさせて店内のあらゆる物の触感を楽しんでいる。
俺はスマホで時間を確認して、理紗のあとを追った。映画の時間まではあと1時間くらいある。そのままフードコートにいても良かったが、混んできたため席を譲ることにした。
店内の商品をほとんど堪能した理紗は満足げにこちらを向く。
「いやあ、癒されたね。次行こっか」
「うん」
ショッピングエリアをぐるぐる回りながら気になった店に入る。次に理紗が気になったのはアクセサリー系の店だった。普段はわりと干物なのに、やっぱり女の子なんだなぁとしみじみ思ってしまう。