舞桜
零
空が、月が、自然が美しいのも、知らない。
人の優しさも。
意味もなく過ごすうたかたの日々。
訳のない肩書きを背負って。
大きな邸に閉じ込められて。
頼りのものも、ああ、誰が奪ってゆくのかしら。
今宵も、私は、この冷たい邸で、悲しいぐらいに美しい、漏れる月の光に照らされて。
嗚呼、またため息を付いているのは、何故なのか?
全てを奪われた、悲しみなの?
ならば、私には、何があるのだろうか。
人の優しさも。
意味もなく過ごすうたかたの日々。
訳のない肩書きを背負って。
大きな邸に閉じ込められて。
頼りのものも、ああ、誰が奪ってゆくのかしら。
今宵も、私は、この冷たい邸で、悲しいぐらいに美しい、漏れる月の光に照らされて。
嗚呼、またため息を付いているのは、何故なのか?
全てを奪われた、悲しみなの?
ならば、私には、何があるのだろうか。
< 1 / 38 >