舞桜
私が昔、愛した忍君。
其方の、お兄様。

この方のせいで、家は零落したのだったわね。

だから、其方は受領どまり。
お金はあるけど、所詮、そこまで。

私は尚侍だったのよ?

其方、今、五位の身でしょう?
でも、私は三位でしたわ。

私情を全く持たない、と非情に思われたけど、私は自分の役目を全うしたわ。

金に溺れた、お前さん。
哀れよ。
哀れなくらい、馬鹿よ。
大馬鹿者よ。
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