舞桜
死になさい。
死になさい。

こんな世に、永らえても得なんかありはしないわ。

さあ、参れ。
参られよ。


萩の君は、何やらこの頃、体調が優れないらしい。

願ったり叶ったり。

このまま、死んでくれればいいのにね。

ああ。
このままなら、私、極楽浄土には、行けないわ。
きっと、堕ちてしまうわね、地獄に。

ある日、何日かしてのことだけれど、薬師が萩の君を訪ねて、何故体調が良くないことを説明した。

「君様、おめでたです。」
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