舞桜
こんな、アテクシみたいな、下賎が、貴女様の大切な人を奪って。

昔から。
宮中でお見かけしたときから、貴女様に、憧れていました。

それこそ、貴女様に比べたら、身分の高くない女房だったアテクシが、典侍を務め、また、尚侍にまで昇った貴女様を、貶すなんて、出来ません。

でも、これだけは。
これだけは、頼みとう御座います。

この子だけは。
助けて下さいまし。

貴女様が、地獄に堕ちろと仰せならば、喜んで、堕ちますわ。

アテクシね、貴女様に、恩がありますよ。
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