舞桜
尚侍様は、聞いて下さっている。
何も、嫌な顔をなさらないで。

『そのために、衣裳を、新調していたのですが、手違いで、遅れているのです。』

『そうか、成程な。でも、若草はあまり聡明ではないから、分からないといえば分からないだろうよ。だが、お付きの女房のうち、一人くらいは分かるでしょうね。』

『はい…………』

『私ね、知っているかしら。若草が、憎いの。正確に言えば、若草の、姉が、憎いの。』

『存じております。』

『一度、恥をかかせてもいいかもしれないわね、あれに。』
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