舞桜
「…………」

そう。
萩の君。

其方、若草に仕える身分低い女房であったな。

私は、思い出したわ。
其方の、こと。

若草の住まう殿舎のすみに、うずくまって泣いていた。

だから、私、衣裳を下賜したのだったわ。

ねぇ、萩の君。
其方がそうまで申すならば、私、喜んでその命を頂戴するわ。

恩を仇で返した、罰、ととってくれても宜しくってよ?
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