舞桜
そもそも、私の結婚には、愛もへったくれも無かった。

ただ、家柄を考えての、親同士が決めたことで、私は別に、そんなものだと思っていた。

ただ、如何してだろうか。
私の枕は、濡れている。

誰も、何も、恵んではくれない。

こんな筈じゃ、なかった。
せめて人並みの生活くらい、送りたかったわ。

袿も単も、長袴も、見て。
もう、裾が綻びて、擦り切れて、色も霞んでしまっているのよ。

それを、貴方はなんて思いながら見ていたの?
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