アフターバレンタイン
「え?」

いつの間に眠っていたのでろう。

「夢?」

いや、あれは現実にあった出来事だ。

あの日があったから今の自分がある。

今の気持ちがある。

「今日、伝えたかったのに」

涙が出る。

初めての恋じゃないのに、どうしてこううまくいかないのだろう。

体調が悪い時は気分も落ち込む。

食欲はないけど、何か食べなければ、薬も飲めない。

冷蔵庫に確か、プリンがあったはず。

起き上がって、キッチンへ行く。

冷蔵庫を開けると、いやでも視界入るラッピングの済んだ箱。

今日渡すはずだったもの。

自分で食べてしまおうか。

一瞬、そんな考えが浮かぶ。

今日渡せないなら、意味がない。

義理チョコならまだ明日でもいいが、本命は。

伸ばした手はすんでのところで止まった。

隣のプリンに手を伸ばし取り出すと、扉を閉めた。
< 3 / 8 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop