突然降ってきたキセキ~今日から私がイケメンアイドル!?~
きっと自惚れだろうし、彼が私にヤキモチを妬く理由なんて微塵もなかった。



そう。期待するだけムダなの。



私は彼にペット扱いされてるだけ。



大切になんてされていない。


そう、自分で勝手に解釈したのに何だか悲しくなってくる。目に涙が浮かんだけど、何とか気合いで引っ込めた。


「とりあえず、また寝てた方がいいですよ。私ももうおいとまするので」


いたたまれなくなり彼に背を向ける。


「...なつめ」


彼の声が優しく鼓膜を撫でる。振り向く事なくぶっきらぼうに振る舞った。


「何ですか。まだ何か?」


もう、この人とはあまり関わり合いたくない。顔を見れば、無性に甘えたくなってしまうから。


...やっぱりこの人は苦手だ。


彼と一緒にいるだけで、どうしようもなくモヤモヤしてしまう。こういう嫌な気持ちは今すぐにでも捨て去りたい。
< 58 / 130 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop