どれほど好きかと言われても
先輩と付き合うようになってから、数か月がたつ。

放課後の人気のない空き教室で少し時間を過ごすのが日課になった。

いつも明るい笑顔でたくさん話す先輩と、いつもあまり表情を変えずに話を黙って聞く俺。

だからこそ先輩が話をしなければ、俺達に会話はなくなる。

気まずい沈黙が居座り続ける中、ちらりと先輩に目を向けると、先輩は不機嫌な顔のままスマホに視線を落としている。

誰かと連絡を取っているらしいけど、誰と連絡をとってるんだろう。

今、俺がそばにいるのに。

…なんて、流石にそこまで拘束しようなんて思わないけど。


「先輩」

「なんであたしが怒ってるか分かる?」


言葉にぶつけるように、先輩は投げかける。

決して視線をスマホから逸らさずに、先輩は言葉を投げかける。

半分怒ったような口ぶりで。


「…昨日のメッセージでしょ」


すると先輩は眉を潜めて立ち上がった。


「もういい、川島なんて嫌い。大っ嫌い。顔も見たくない!」



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