どれほど好きかと言われても
先輩と俺は真逆だ。

明るい先輩と、喋らない俺。

運動が得意な先輩と、運動は大嫌いな俺。

正義感が強い先輩と、傍観者でいたい俺。

感情的な先輩と、無関心な俺。

共通項なんてほとんどない、正反対なのに、否、正反対だからこそ惹かれるんだろうけど。

今を精一杯生きてる先輩は、何よりすごく輝いて見えるから。


…ああ、もう、面倒くさい。


何が面倒かって、先輩の性格だ。

底抜けに明るくて、暑苦しいくらい他人の心に土足で踏み込んでくる。

そのくせ人一倍他人のこと考えて見えないところで泣いて。

怒ったら周りが見えなくなるし。

俺が他の女子といれば拗ねるし、そのくせ自分がモテてることに一切気づかないし隙だらけだし。

こっちがどれだけ心配してるか1ミリも気づかないで。


「ちょっ、やめてってば!」


……それで、先輩があんな風に怒って周りが見えなくなってしまったときに限って、こういう厄介事に巻き込まれてるし。



…もう、いい加減面倒なんだけど。



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