どれほど好きかと言われても
「冗談ですよ」


俺は振り返って先輩を見つめた。

先輩は急に緊張したような顔をし始める。


ほんと、そういうとこが可愛い。


「誕生日おめでとうございます」


鞄から取り出したプレゼントは、小さな箱。


「これは…」

「開けてみれば?」


ワクワク顔で先輩は箱を開ける。

クリスマスの朝の子どもみたいな顔だ。


「ネックレスだ!可愛い!」


先輩はきゃっきゃ嬉しそうな顔をする。

…これ買うのにどれだけ恥ずかしい思いしたと思ってんの。


「ありがとう、川島!」


でもまあ、この笑顔が見れたからいいかな、なんて思ってしまう。

ほんと、先輩はどれだけ俺を振り回せば気が済むの。



「さっきまで大嫌いとか言ってたくせに」

俺がそう言えば先輩は表情を固くした。


「うっ、そ、それはその…ちょっと気が立ってて…」


「俺、傷つきました」


「ええっ、ご、ごめん!」


「ごめんじゃないですよ」と俺は先輩に詰め寄る。

それから先輩の頬に手を添えた。


「他に言うこと、あるでしょ?」


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