不合理なオフィスラブ 〜嫌いな同期との攻防戦〜
「一度でいいから、司って呼んでみたかったな……」
今もなお、無防備に眠り続ける天宮のやわらかい前髪に軽く触れてこぼした私の呟きは、静かな空間に朝露と共に溶けていった。
「天宮のことが……ずっと前から好き、でした」
切なさと恋慕を胸に秘め、
床に散らばった服を掻き集めて手早く身に着けると、天宮に背を向け部屋をあとにした。
閉まった扉を背に、溢れ出た涙がいつまでもとまらなかった。
ほろ苦い封印したはずの淡い初恋。